埋没費用(サンクコスト)とは?具体例と判断のポイント

埋没費用とは、すでに支出しており、今どの選択をしても取り戻せない費用のことです。 お金だけでなく、すでに費やした時間や労力にも当てはまります。これからの判断では、回収できない支出を切り分け、それぞれの選択によって変わる利益と費用を比較することが大切です。

埋没費用とは何ですか?

埋没費用は英語でSunk Costといい、日本語でも「サンクコスト」と呼ばれます。重要なのは、単に支払い済みであることではなく、現在の判断では回収できないことです。返金や売却で取り戻せる金額があるなら、その部分まで埋没費用として扱ってはいけません。

例えば、コンサートのチケットを10万ウォンで購入し、返金も譲渡もできないとします。この記事の金額は、原文と同じ韓国ウォン(KRW)です。コンサートに行っても家にいても10万ウォンを取り戻せないなら、現在の時点ではその代金は埋没費用です。今の選択で変わるのは、鑑賞によって得られる楽しさ、移動に必要なお金や時間、別の活動をする機会です。

一方、行かなければ3万ウォンの返金を受けられるなら、判断は変わります。鑑賞するために返金の機会を手放す価値があるかを比較する必要があるからです。「支払ったお金だから考えなくてよい」と結論づける前に、実際に回収できる金額を確認しましょう。

OpenStaxの意思決定と関連原価の解説でも、すでに発生して選択によって変わらない費用と、選択によって変わる費用を区別しています。

サンクコストの誤謬はなぜ起こるのでしょうか?

サンクコストの誤謬(Sunk Cost Fallacy)とは、すでに使ったお金・時間・労力がもったいないという気持ちに引きずられ、これからの利益と費用を適切に比較できなくなる判断の誤りです。埋没費用は回収できない支出を指し、その支出が現在の選択をゆがめる現象がサンクコストの誤謬です。

先ほどの例で、体調が悪く、鑑賞の楽しさより負担が大きいと考えているのに、「10万ウォンを払ったのだから絶対に行かなければ」と決めるなら、この誤りに陥っている可能性があります。ただし、コンサートに行く行動そのものが誤りなのではありません。今でも十分楽しめると見込み、その価値がこれからの負担を上回るなら、鑑賞は合理的な選択になり得ます。

すでに使ったお金を惜しむ気持ちには、無駄にしたと思いたくない心理が関わる場合があります。ArkesとBlumerによる1985年の研究The psychology of sunk costは、お金・労力・時間を投じた後に継続しやすくなる傾向を扱い、無駄遣いをした人だと思われたくない気持ちを説明要因として示しています。ただし、あらゆる状況の判断を一つの心理だけで説明できるわけではありません。

「ここまでやったのに、やめるのはもったいない」と思ったら、その先に続ける具体的な理由があるか確認してみてください。今後の効果を説明しているのか、それとも過去に費やしたものを繰り返し挙げているのかを分けることが出発点になります。

日常ではどのように現れますか?

自分に合わないオンライン講座を最後まで受講すべきでしょうか?

オンライン講座を購入したものの、数回受講してから現在の目標に合わないと気づいたとします。返金期間が過ぎて代金を回収できないなら、その支出は埋没費用です。だからといって、すべての講義を最後まで視聴すれば無駄が減るとは限りません。

残りの講義に必要な内容があれば、その部分だけ学ぶ方法もあります。反対に、あと10時間を使っても得るものが少なく、別の教材のほうが目標に役立つなら、学び方を変えることもできます。受講料とは別に、これから使う時間の価値を比較する場面です。

ここでいう機会費用(Opportunity Cost)とは、ある選択によって諦める、最も価値のある別の選択肢の価値です。受講時間にできた別の勉強や休息も比較の対象になります。定義はOpenStaxの機会費用の解説で確認できます。

すでに損失が出たプロジェクトでも継続が有利な場合があります

説明のための仮想例として、小さなプロジェクトにすでに200万ウォンを使い、その金額はどちらを選んでも回収できないとします。あと30万ウォンを使えば完成し、完成後には80万ウォンの収入を得られると見込んでいます。中止すれば追加支出も収入もなく、資産の売却代金や返金もないという仮定です。

比較項目 継続する場合 中止する場合
すでに支出した回収不能額 200万ウォン 200万ウォン
これからの追加支出 30万ウォン 0ウォン
これから得られる見込みの収入 80万ウォン 0ウォン
現在からの予想純流入額 50万ウォン 0ウォン

この仮定どおりなら、継続することで現在から50万ウォンの純流入が見込めます。過去の支出も含めた全体の損失は、継続すると150万ウォン、中止すると200万ウォンです。全体として損失があるというだけで、中止が有利とはいえません。

実際には、残りの作業時間、別のプロジェクトを諦める費用、追加費用が膨らむ可能性、予想収入の不確実性も検討する必要があります。この表は、それらを省いた単純な比較です。継続する根拠は、使った200万ウォンが惜しいという気持ちではなく、これからの選択で得られる結果にあります。

サンクコストの誤謬を減らす判断の手順

続けるかやめるか迷ったら、次の順序で紙に書き出してみましょう。頭の中だけで考えるより、過去の支出と今後の条件を整理しやすくなります。

  1. 現在の選択肢を具体的に書きます。 継続や中止だけでなく、一時停止、範囲の縮小、別の方法への切り替えが可能かも確認します。オンライン講座なら、全講義の受講と完全な中止の間に、必要な単元だけ学ぶ方法があります。
  2. 取り戻せるものと取り戻せないものを分けます。 返金可能額、中古売却で得られる金額、別の用途で使える資源を確認します。費やした時間は戻りませんが、そこで得た知識や成果物は今後も活用できるかもしれません。
  3. 同じ期間を基準に、今後の利益と費用を比べます。 今後1か月の支出・時間・予想結果など、比較範囲をそろえます。一方では現金支出だけを数え、他方では時間の負担まで含めるといった基準の違いを避けます。
  4. 予想と確認済みの事実を区別します。 追加費用は見積もりや契約条件で確認し、期待する効果にはどのような根拠があるかを書きます。収入や成果が予想を下回っても、その選択を受け入れられるか検討しましょう。
  5. 判断を見直す時期と条件を決めます。 不確実な場合は、無理のない追加予算と期間を決め、その時点で確認する成果をあらかじめ書きます。「重要な単元をあと二つ学び、実際の課題を解くのに役立つか確認する」のように具体化できます。

補助的な質問として、「まだ始めていないとしても、現在の知識や資源はそのまま持っているなら、これから必要な費用をかけてこの選択をするだろうか?」と考える方法があります。ただし、すでに結んだ契約や他の人への約束など、現在の選択に影響する条件も反映する必要があります。

埋没費用を考える際の注意点

埋没費用を理解したからといって、過去に関する情報をすべて捨てる必要はありません。回収不能な支出そのものと、現在も残っている資源・義務・情報を区別しましょう。

  • 継続することが、すべて誤りとは限りません。 今後得られる価値が追加費用とリスクに見合うなら、継続も合理的です。長く続けてきた事実より、現在の条件を判断の根拠にします。
  • 中止にかかる費用は別に計算します。 今やめると発生する違約金、撤収費用、引き継ぎに必要な時間は、現在の選択で変わる項目です。過去の支払いとまとめて無視すると比較がゆがみます。
  • 固定費と埋没費用は同じ意味ではありません。 固定費は、生産量や利用量が変わっても一定の範囲で変わらない費用です。固定費というだけで回収や回避ができないわけではなく、契約期間や解約条件などを確認する必要があります。
  • 過去の経験は、次の判断に使える情報になります。 費やした時間は取り戻せなくても、適性、難易度、作業速度などの知識は今後の結果を予測する材料になります。経験から得た事実と、支出を正当化したい気持ちを分けて考えましょう。

もったいないと感じること自体が悪いわけではありません。その気持ちを認めたうえで、「これから何を得られ、何を追加で費やす必要があるか」という観点から最終的な選択を説明できるか確認してみてください。