韓国料理 / ヤックァ(薬菓)とは?材料と食感、種類と食べ方

ヤックァ(薬菓)は、小麦粉に油や蜂蜜などを混ぜた生地を成形し、油で加熱してから、蜂蜜や穀物の糖蜜を使った甘いシロップをしみ込ませる韓国の伝統菓子です。花模様をつけた丸い形がよく知られ、表面の香ばしさと中までしみた甘さ、しっとり重みのある食感が特徴です。餅や軽く砕けるクッキーとは材料と作り方が異なります。

小麦粉・油・蜂蜜で作る油蜜菓

ヤックァは、韓国の伝統菓子である韓菓の中の「油蜜菓(ユミルグァ)」に分類されます。油蜜菓とは、小麦粉に蜂蜜や油などを加えた生地を油で加熱する菓子類です。韓国民族文化大百科事典の薬菓の項目(韓国語)は、小麦粉、蜂蜜、ごま油で生地を作り、型で模様をつけて油で加熱した後、穀物の糖蜜や蜂蜜に浸す作り方を説明しています。

生地にしょうが汁や清酒を加えたり、シロップにシナモンの香りをつけたりすることもあります。ただし、すべてが同じ香辛料と配合で作られるわけではありません。ごま油の香りがはっきりするものも、しょうがやシナモンが控えめなものもあり、実際の味には幅があります。

小麦粉の生地を油で加熱することでコクが生まれますが、それで完成ではありません。蜂蜜や糖蜜に浸して甘さを含ませる「集清(チプチョン)」が、独特のつやとしっとり感を生む重要な工程です。表面に甘いソースを少し塗ったクッキーとは違う食感を想像するとよいでしょう。

軽いクッキーより、しっとり密度のある食感

かじると、外側のやや硬い部分の後に、シロップを含んだやわらかな中身を感じることがあります。製品によって粘りがあったり、ほろりと崩れたり、細かな層が見えたりします。生地の作り方、厚さ、油で加熱する過程、シロップを含ませる程度が違うため、食感は一様ではありません。

断面では中身が詰まり、小さな隙間や層にシロップが入っている様子が見られます。最初に強い甘さを感じ、その後に油のコクやしょうが、シナモンなどの香りが残ることもあります。見た目が小さくても味は濃厚なので、初めは小さく切ってゆっくり味わってみてください。

花模様のヤックァを半分に切り、密度のあるしっとりした中身と濃い色の外側を見せた様子

「もちっとしている」といっても、餅と同じ食感という意味ではありません。ヤックァの粘りと密度は、加熱した小麦粉生地にシロップがしみ込むことで生じ、米粉の生地の弾力とは異なります。軽くサクサク砕ける菓子を期待すると、しっとりした重さを意外に感じるかもしれません。

花形のヤックァと四角いモヤックァ

花模様のヤックァは、型に押しつけたり、型抜きしたりして模様を作る姿がよく知られています。ひと口サイズから手のひらに近い大きさまであり、サイズが変わると量だけでなく、外側と内側を一緒に噛む感覚も変わります。

四角く作ったものはモヤックァと呼ばれます。韓国民族文化大百科事典の油蜜菓の項目(韓国語)は、成形方法によってモヤックァ、タシックァ、マンドゥグァなどを区別しています。モヤックァには生地の層が重なって見えるものもあり、断面や縁で違いを確かめられます。

選ぶ基準 見る特徴 味わうときの注目点
花模様・丸い形 模様、厚さ、中身の詰まり方 外側と内側のしっとり感の差
モヤックァ 四角い形、生地の層が見えるか 層が崩れる感触とシロップの量
小さなヤックァ ひと口の大きさと個包装の有無 分けたり複数の味を比べたりしやすいか
香り・トッピングの違い しょうが、シナモン、ナッツなど 基本の生地の味と追加材料の香り

形だけで、どちらが必ずしっとりしている、またはサクサクしているとは決められません。同じ花形でもシロップの含み方が異なり、四角いものも層の厚さや硬さが違います。すべてのモヤックァが同じ食感だと考えず、販売店の説明と断面を合わせて見てください。

丸い花模様のヤックァと、生地の層が見える四角いモヤックァを並べた様子

「薬菓」という名前の「薬」はなぜ?

この名前には、蜂蜜を貴重なものと考えた昔の食文化が表れています。韓国民族文化大百科事典は、生地に蜂蜜を入れることと薬菓という名称を関連づけて説明しています。ただし、この名前が現在の薬効や治療効果を保証するという意味ではありません。

ヤックァは、祝い事や儀礼の膳に出された菓子でもあります。韓国観光公社の紹介(英語)も、節日や祝いの席で食べる伝統菓子と説明しています。ただし特別な日に限るものではなく、普段のお茶と一緒に少しずつ楽しむこともできます。

伝統菓子という言葉は、作り方や原材料が一つに固定されてきたという意味ではありません。現在販売される製品には、蜂蜜や穀物の糖蜜以外の糖類、さまざまな油やトッピングを使う場合があります。特定の材料の香りを期待するなら、「伝統」という表示だけでなく原材料と製品説明を確認するほうが役立ちます。

お茶やコーヒーと少しずつ味わう

ヤックァは甘さとコクが濃く残るため、甘さの少ないお茶やコーヒーを合わせると、それぞれの味を感じやすくなります。温かいお茶ひと口と小さなひとかけを交互に試してみてください。飲み物も強く甘いと、菓子の香りより全体の甘さが目立つことがあります。

大きなものは皿にのせて食べやすく分けると、中の食感を確かめやすくなります。表面のシロップが手につくことがあるため、小さなフォークや菓子用トングを使ってもよいでしょう。サクサクしたものは切るとくずが出る場合があり、皿の上で分けると食べやすくなります。

アイスクリームなど別のデザートと合わせるものを選んだら、先にヤックァだけをひと口試してから組み合わせてみてください。冷たいクリームとの食感や温度の違いを楽しめます。こうした組み合わせが基本の食べ方というわけではなく、初めは何も加えないものだけでも十分に味を知ることができます。

買う前に香り・食感・包装を確認

初めて選ぶときは、甘さとしっとり感、しょうがやシナモンの強さ、生地の層が崩れやすいかを見てみましょう。写真の色が濃いからといって、蜂蜜が多い、長く加熱したとは断定できません。少量を選び、内側と外側を一緒に味わうと好みを探しやすくなります。

贈り物や持ち運び用なら、個包装かどうか、崩れやすさも大切です。一箱に複数の種類が入っている場合は、それぞれの材料と保存方法が同じか確認してください。蜂蜜、ごま、ナッツなど避けるものがある場合は、トッピングを除くだけでよいか原材料から確かめる必要があります。

保存はすべてに常温・冷蔵・冷凍の一つを当てはめず、製品の案内に従ってください。冷やしたときに硬くなる程度も製品ごとに違います。まず案内された状態で食べ、しっとり感、層、香りのどれが好みかを基準に、次の製品を比べてみてください。